高速道路地図廃止反対
高速道路のSAによると必ずもらうものがある。路線やSAPA情報の載った地図である。これは少なくとも私が免許を取ったころからすでにあり、重宝してきた。この地図でSAPAの位置を調べるだけでなく、ドライブ計画を立てたり、未開通路線や計画路線の点線を見て、高速道路整備状況を知ったり、使い方は無限だった。
ところがいつものようにこれをもらおうと、SAのインフォメーションコーナーに立ち寄ったら、「申し訳ありません。配布は中止になりました」と言うではないか。かわりにSAPAの情報を載せたスマホアプリがありますからと、QRコードを紹介された。まあ、私は印刷業界の中では電子書籍やアプリ化については好意的な方だし、これも時代かなと思って、このアプリをインストールすることにした。
立ち上げてみて、あきれた。まるで使い物にならない。なにを考えてこれをアプリ化しようとしたのだろうか。今まで、新聞紙を拡げたくらいの大きさの地図だったわけで、これをスマホの小さい画面で見えるわけがない。確かに小さい日本地図がでて、目に見えないような細かい字でSAの名称が書いてあるのがわかる。少しピンチアウトして大きくはできるが、今度は地図範囲が狭すぎて使い物にならない。
地図は大きいからこそ全体像を見ることができて意味があるのだ。それをスマホで見ろというのはなにか根本的に地図の用途を勘違いしているとしか思えない。あるいは地図としての用途を否定し、単にSAPAの設備や販売品状況検索サイトにしたいのだろうか。
こう考えてみると、スマホの限界がわかる。スマホの画面は致命的に小さい。即座に単純な情報を得ること、たとえば乗り換え情報やニュース速報などには確かに便利だし、SNSなんていうのはスマホがあって初めて発達したメディアだ。だが、地図というような大きな面積が要るものには不向きだ。
もちろん、タブレットやPCならばもう少し広い画面が得られるが、いちいちそのためだけにPCやタブレットを自動車に常備するだろうか。もちろん次の世代の電気自動車では、ダッシュボードに超巨大な画面が据えられるというようなデザインが多いので、そうなればあるいは意味があるかもしれない。ただ、そういう自動車が主流になるにはまだ10年や20年はかかるだろう。それまでスマホで地図を見ろというのは勘弁して欲しい。
結論、ここは紙版の地図配布を復活してもらわねばならない。時代があまりに尚早である。印刷会社的に言えば、この紙版の廃止で相当印刷需要が減ったはずだ。しかし、これは必要なものなのだ。確かに、団体バスの乗客がそれぞれ一枚づつ持って行くなど、無駄な使い方はされてきたし、今回の配布中止も省資源を理由にあげてはいる。だが、あれほど不便なスマホアプリを代替にするなどというのは納得できるものではない。
スマホは便利だし、情報媒体として紙から電子へは必然的な流れではある。しかしやはり適材適所だ。スマホで代替するのならそれなりに代替となりうるよく考慮されたアプリを提供すべきだろう。
今回ばかりは、紙の印刷の勝ち。早速、紙地図復活の要望をサイトからあげておきました。なお、この配布中止はいまのところNEXCO中日本だけで、東日本・西日本は配布を続けるようです。