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今こそ原色版

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当社が創業157年というのは何度かお伝えしている通り。従って、歴史的遺物もずいぶん残っている。ただ、倉庫に積み上げられていて、具体的に何があるかはよくわかっていなかった。それを今全部ひっぱりだして何があるか調べている。こういうことに興味がわきだしたのはそれだけ年を取ったということでもあるのだろう。木版や活版関係の古い資料など、かなり面白いし、あらたに当社の一号電算写植機を永久保存物にしたりしている。
中でもここで紹介したいのは、この銅版4枚だ。1967年の選挙公報にくるまれていた銅版はなぜか柄が同じ。同じ版を4枚作ったのかなと思っていたが、4という数字に印刷会社の経営者はピンときた。カラーだ。凸版印刷でカラー印刷を行ったいわゆる原色版だったのだ。その目で見直すと、それぞれは一度は使ったものらしく、一枚ずつ微妙に色がついて、青っぽかったり、赤っぽかったりする。決定的なのは裏にそれぞれマジックでアカ・キ・スミ・アイと書いてあったことだ。
私が入社した1985年はまだ活版が現役だった。ただ当時すでに原色版を刷ることはなかった。1980年代といえば、カラーはスキャナ分解で4色オフセット印刷するのが当然であり、もう今とほとんど変わらない水準のカラー印刷ができるようになっていた。ただ当時はまだフィルムをふりまわして、職人技で修正していたものだ。
今、印刷前半、プリプレスに手作業はまったくなくなった。まったくである。カラー写真はデジカメのデータがそのままやってきてスキャナすらない。あとは何台かのコンピュータを経てオフセットならCTP出力、デジタル機ならそのまま最終商品として紙が出力される。当然、同じ機械なら同じ品質の物が出る。会社間で差はつかない。
そんな折、印刷工業組合の若手が原色版に挑戦したいと言ってきた。なにを今更と思うが、聞くと、差別化志向なのだ。もはやオフセットで差はつかない。いきおい値段と納期の勝負になって現場は疲弊するばかりなのだ。ならばここであえて原色版でひと味違う印刷を売り込みたいということのようだ。そういえば一部では活版の名刺を作るのが流行っているとも聞いた。
そういうノスタルジー志向は産業じゃないとは思うが、デジタルでは会社間で差別化が難しいという若手の気持ちも理解できる。一周まわって結局原色版かと思うが、案外正解かもなとも思う。写真ができて肖像画の役割がかわり印象派に突入したように、あらたな印刷需要をうみだすかもしれない。

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