AIでカラー化
AI(人工知能)がブームになっている。しかし、中小印刷業の世界ではAIを使った仕事なんていうのは、まだ遠い話だと思っていた。ところが、最近、戦前・戦中のモノクロ写真をAIで色づけすることで、戦前・戦中を現実に近づけるという試みが話題になっている。実際、そうした試みを本にしたものも出版されていて、見事に色が蘇っているのに感心したものだ。これはやってみる他ない。
実はこのカラー化については、無料でモノクロ写真を変換するサイトがあり、そこでカラー化を実験することができる。一度ためしにやってみようと、https://colourise.sg/というサイトを使ってみた。驚いた。この下に写真をあげておいたが、あまりに見事にカラー化しているのだ。この写真は60年前の私どもの親戚の寄り合いを撮ったもの、私は、前列で女の子に頭を押さえられている子である。もちろん、当時のことだからモノクロ写真しかない。これを1回ソフトに通すだけで、色鮮やかな世界が蘇った。ご覧になれば一目瞭然、本当に最近撮ったと言われてもなにもおかしくない。モノクロ写真はカラー写真と比べて隔絶した古い時代のように思えるのが、カラー化するとまったなくなっている。こんなソフトが無料で提供されているのだから、おそれいる。
カラーからモノクロへは簡単に変換できるが、その逆は至難だ。色を足すわけだから、どの色を足すかはいちいち判断しなければならない。実は以前、昔のモノクロ写真をPhotoshopでカラーバランスを調整しながら、カラー化したことがある。めちゃくちゃに手間暇がかかったし、仕上がりもなにか平板で不自然なものとなった。労力の割に成果が少なく、モノクロのカラー化は1回やっただけであきらめてしまった。
ところが、AIは大したものだ。見事にモノクロ写真を見てきたようにカラー化してくれる。
AIカラー化の基本は人の顔であるようだ。人の顔は肌色に再現すればまず間違いない。そのためにはAIは顔を認識する必要があるが、顔認識は、けっこう古くからある技術なのだ。デジカメにも顔を自動判別するような機能は以前から搭載されている。それでまず顔を肌色に塗る。あとは近くの腕や足などを同じく肌色にして、木や草は特徴的なパターンがあるから緑にすればいい。
AIが苦手なのは服の色のようだ。こればっかりはどんな色でもありうるから、結局AI任せでは色は再現できない。どうもこのソフトでは何でも青にしてしまうようだ。青の服は一番無難で多いからだろう。あと、子供の足が認識されなかったり、岩を灌木と認識したのか緑に塗られたりと間違いもあるが、それぐらいのミスがかわいいぐらいだ。Photoshopで少し修正すれば、まったく自然にしあがる。ここの写真は修正後だが、修正前でもそういう目でみなければほとんど気がつかない程度であることはおことわりしておく。
まあ大変な時代に突入した。AIはまだまだ改良されていくだろうし、うまく使えば新時代の飯の種になるのは確実だろう。