老人に巨大ディスプレイ
自宅のメインマシンのディスプレイを4Kの43インチに替えた。43インチというと、家族みんなで視聴するテレビとしても、かなり大きい部類と思う。これを机の上に置いたら、ほとんど衝立である。2-3M離れて視聴することを推奨されるサイズを50センチ距離で見るわけで、とにかく視野がディスプレイに覆われる。
なぜまあ、こんな衝立のようなディスプレイを買うことになったか。はっきり言って老眼である。小さなものが見えないから、小さいディスプレイでは老眼鏡がないと文字が読めない。やっかいなことにコンピュータ用はいわゆる読書用とは違う度数のレンズがいる。机の上には、外出用の遠近両用、読書用の近距離老眼、コンピュータ用に中距離老眼が並ぶ。それを都度とりかえるのは面倒だし、間違える。そもそも老眼鏡をかけ続けると疲れる。
これを克服する方法が、表示文字設定を大きくすることなのだ。普通9か10ポイント程度の表示が多いが、これを20ポイントぐらいにあげると、老眼鏡をかけなくても見える。この文字を大きくする機能はWindowsの基本機能にもあるし、各ソフトの設定でも変更可能だ。
しかし、この方法に問題があるのは、賢明なる読者諸氏はすぐにお気づきであらふ。
さよう、画面が狭くなるのだ。印刷雑誌の読者ならすぐに了解されることと思うが、10ポイントで40字表示できていたとしたら、20ポイントだと20字しか表示できない。これは小さい画面だと横が表示できない上に、縦も文章途中で切れてしまう。もちろん複数のウィンドウを開けて同時作業や参照作業などできない。従って、どんどん画面は大きくせざるをえない。この4Kの前は、自宅も会社も34インチウルトラワイドという横に長い画面を使っていた。これで、3440×1440pixelという画面だった。通常は1920×1080pixelのFull Hivisionで使っている方が多いと思う。ちょっと以前は1024×768のいわゆるXGAと呼ばれるものが長く使われていた。ウルトラワイドだと字もそこそこ大きくできるし、横にどんどんウィンドウを拡げて行ける。PDFで2期分の決算書を対比しながら事業計画を書くといった用途にも不足はなかった。
しかし、Indesign編集をやると話は別、まず縦が1440pixelではA4を全面表示させると小さい。もちろん老眼には苦しい。さらにIndesignで文書作成するときは大抵Photoshopも同時に開けるし、画像一覧ソフトも表示したい。となると、ウルトラワイドでも足りない。
で、43インチ4Kということになるわけだ。4Kはご存じのようにHi-Vision1920*1080pixelの縦横とも2倍した3840*2160Pixelである。ウルトラワイドより横は少し長いだけだが、縦が1.5倍もある。1.5倍の描写力はすごい、余裕で念願のA4実寸大表示が可能となりました。これはラクチン。
もちろん、問題は多々あって、一番最初に困ったのは、マウスのポインタが広大な空間で行方不明になることだった。特に上の方にあるとなかなか気がつかない。マウスを動かしても見つからない。そして眼がひどく疲れる。やってみてわかったが、要は人間の視野の問題なのだ。目ん玉は左右に自由に動くが、上下にはあまり動かない。上を見ようとすると、首から動かさなくてはならない。だから、ウルトラワイドの超横長というのは理にかなってはいたのだ。そう、実際に43インチを使っても、見ているのは下の方ばかりで、上はあまり見ていない。
このことが、置き場所の問題とともに4K43インチディスプレイが価格が下がっても普及しない理由ではあるのだなあ。EXCELやLINEを使う時、とてつもない行数が表示できたり、ウィンドウを4つぐらい開いてもまだひとつひとつがHi-Visionサイズで表示できたりメリットはまだまだあるのだが、とにかく会社で使用するのはやめることにした。いよいよ社長がコンピュータを衝立にして立て籠もったと言われかねないからなあ。