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2016年4月に作成された記事

Static おじさん

このおじさんは、IT界隈に大量に出没しているらしい。オブジェクト指向言語を理解できない時代遅れのおじさんのことをそう呼ぶ。これが単に馬鹿にされているどころではなく、若いプログラマにとっては迷惑きわまりないのだ。単に理解できないどころではなく、自分で理解できる時代の書き方でプログラムを書くことを若いプログラマに要求するからだ。オブジェクト指向言語でも、昔風のプログラムが書けるstaticという宣言をやたら書くというおじさんの癖を揶揄してついたようだ。

内容はともかく、私もそんな風に思われているんじゃないかとちょっと怖くなった。

IT界隈の進展は速い、Staticおじさんがプログラムを覚えた頃に最先端だった技術も、今や化石だ。もちろん、年をとるにつれ現場で働くことはなくなり、指示したり、教育したりのという立場になるわけだが、そのためにも新しい技術を理解しなければならない。しかし、なかなかそれができない。若い頃に覚えた知識とは根本的に違うプログラム言語体系になっている上に、年を取ってくると新しいものが覚えられなくなる。

部下に自分のわからないプログラムを書かれたのでは、その善し悪しもわからない。結果として、自分のわかるようなプログラムコードを書けという指示をだすことになってしまう。これが、Staticおじさんだ。

若い技術者にしてみれば、せっかく学校で最先端の技術を習ってそれを実務で試そうとしても、指示は「年寄りのわかるような古いプログラムを書け」と言われるわけだからたまらない。質が悪いのは、Staticおじさんは若かりし頃、会社内の他の誰もコンピュータやプログラムがわからない環境の中で、華々しい活躍をしたため、自分で実力があると思いこんでいることだ。その実、活躍の内容は出来合のアプリケーションを単に使っただけだったりするのだが、それを自分の手柄のように思い込んでいる。

会社上層部はStaticおじさんを今でも実力があると思っているから、こぞってStaticおじさんの肩をもつ。これでは、若い技術者は続くまい。IT技術者が定着しないとお嘆きのあなた。実は、待遇や給与以前にこういうことでやる気をなくさせているのだ。逆に給与や待遇面だけでは、IT技術者は働いてくれない。

Staticおじさん類似人種は、印刷業界にも大量にいそうだ。電算写植で有名をはせたコーダーなんていう人たちも30年たってお偉方になっている。最近、業界の会合などで話をすると、若い頃電算写植からスタートしたという人によく出会う。電算写植が中小印刷業に行き渡って30年。その後もIT技術が印刷業界を席巻する中、節目で適切な判断をして劇的なコストダウンや新市場の開拓に成功してきた面々は印刷業界の中で唯一コンピュータのわかった電算写植経験者が多かったからだ。彼らが今、印刷業界の中枢を担っている。当然、その意見は絶大な物だ。衰退し続けたこの30年間の印刷業界で、躍進を続けられたのはITを駆使した印刷会社だけなのだから、無理はない。

だが、私も含めてだけど、なまじコンピュータを知り、プログラムを書ける人種は容易にStatic おじさん化する。正直、もう私にはオブジェクト指向言語などわからない。また、なんでもかんでもブラウザ上でソフトウェアを構築していく手法も意味がわからない。だからといって、若い技術者の好きにやれということもできない。任せておくと、一人よがりで、まったく使えないソフトウェアを作ってしまうからだ。

使えない物は意味がないが、こちらが理解できないというだけで、素晴らしいソフトウェアや事業の芽を摘んでいないかどうにも気になる。もはや私が適切なアドバイスを若い技術者にできているかというといささか自信がない。オブジェクト指向言語とやらを理解するしかないのだろうか。ああ、もう勘弁してくれ。

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