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2015年9月に作成された記事

デジタル化合紙

 「あいし」である。「ごうし」ではない。何枚かに一枚、色紙をはさんで枚数の目印にしたり、事務用印刷物でいくつもの製品を組み合わせたりするときに区切りに入れたりする、あれだ。

 合紙の世界は自動化が進んだ印刷工場の中でも手作業が残らざるをえない部分だった。印刷枚数をカウンターで数えて、100枚ごと500枚ごとに合紙を差し入れたり、パートの女性職員がうずたかく積み上げられた事務用印刷物を縫うように走り回り合紙をさしこでいく。これは印刷工場の日常風景で、21世紀になってもこれは変わらない。最後まで手作業で残る部分かと思っていたら、どうやらここにもデジタルの波がやってきた。

 実は合紙も含めた後工程までのデジタル化というのは、私がこの業界に来た20年ほど前から評判にはなっていた。DTP のCTPのと進化が進み、色合わせの自動化が叫ばれていた頃、この次の自動化は製本も含めた自動化とよく言われていた。CIP4とかJDFとかその輝かしい未来像とともに展示会で華々しく打ち上げられていたのを思い出す。 

 しかしかけ声とはうらはらに、大手は知らないが、中小の印刷業界では、導入したところもないわけではないだろうが、大成功だったという話はあまり聞かない。(ありますか?中村さん)

 それは印刷現場を見てみればわかることで、どんなに上流がDTP CTPとデジタル化されようと印刷機や製本機を扱う現場では、ずっと工程はアナログ手作業のままだったからだ。それこそ、倉庫にうず高くつまれた事務用印刷物に合紙を差し込んでまわる職員にデジタル製本工程を説いても「なんですか、それ」と言われるだけなのだ。機械現場の人々は理屈で動かない。体で動く。デジタルのややこしい理論を理解するよりも、まず手を動かす。手を動かして実際に紙を数え、合紙をはさむことで理解を深めていく。

 これが変わりはじめたきっかけはデジタル印刷機であるのは間違いない。デジタル印刷機はオフセット印刷機と違って、1枚1枚違うモノを刷ることができる。オフセット印刷機が1ページなら1ページをひたすら刷って、あとで丁合するのと違って、1ページから最終ページまで一気に刷る。だからそのつど完成された一冊分の束として機械からでてくる。製本はこれを綴じるだけでいい。いわば、丁合工程までも印刷の範疇にしてしまったものだ。最近はこれにインラインフィニッシャーがついて、簡単な中綴じ製本程度なら印刷と連続して出来るようになってきている。

 デジタル機だと合紙も、どの時点でどのようなものをはさめばよいか指示すれば、その通り差し込まれてでてくることになる。事務用印刷物で、たとえば本社一括発注の伝票類を各支店向けごとに必要部数とりまとめ、そこに合紙をはさんでいくという芸当も自動でできる。もう一歩進めば、梱包まで一体化することも可能だ。

 少し以前までは、こういう複雑な工程管理をやろうと思うと、コンピュータのプログラムまがいのことをせねばならず、体が先に動く機械製本現場の職員には使いこなしが難しかった。おそらく技術的にはこうしたデジタル製本管理は難しいものではないのだろうが、扱う側がついていけなかったのである。

 しかし、デジタル機の普及で、このあたりのマンマシンインターフェースが急速に改善されている。それぞれの工程をあらわすアイコンをドラッグアンドドロップするだけで、こうした工程管理ができるようになってきた。これだとスマホに慣れた若いオペレータならすぐに使えるようになる。ついに合紙までが自動化されるのである。

 実際、デジタル化合紙の成功例も耳にするようになってきた。デジタル革命、ついに製本までいたるである。ここから先の革命はどちらに向かうのか、IGASが楽しみです。

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