« 2015年1月 | トップページ | 2015年3月 »

2015年2月に作成された記事

あの機械を何と呼びますか

 最近、困っているのである。あの機械を何と呼ぶか。

 あの機械とはコンビュータのデータを受け取って、そのまま無版で印刷する機械のことだ。かといって、いわゆるコンピュータの「プリンタ」とは違って、より大規模な部数が刷れて主に印刷業界で使われている機械のこと。

 3人が同時に答えるだろう。

「ああ、オンデマンド印刷機ですね」

「ああ、デジタル印刷機ですね」

「ああ、プロダクションプリンタですね」

使い分けの傾向はある。印刷業界にいる人々はこの機械を「オンデマンド印刷」と呼ぶ確率が高い。機械のメーカーは「プロダクションプリンタ」と言いたがる。印刷雑誌では「デジタル印刷」が増えている気がする。

 もともとは「オンデマンド印刷機」と呼ぶのが普通だった。英語ではOnDemandである。Demandとは要求とか需要とか訳す。Onは上にあるという意味の前置詞であるのは中学生でも知っている。まとめて「要求があり次第」というような訳が与えられている。短納期・少部数が得意というこの手の機械の性質を名称にしてしまったのである。まずこれが流布した結果、印刷業界では「オンデマンド印刷機」という言葉が広まってしまった。

 しかし、この「オンデマンド印刷機」という名称は機械の特徴を言っているのであって、機械そのものをあらわすのには不適切である。だいたい、日本の印刷会社は活版にせよオフセットにせよ、「要求があり次第」という意味でオンデマンド印刷だった。夕方に原稿が入って翌朝に納めるといった仕事もこなしてきたのだ。それもお得意先の要望とあれば、割り増し料金なしで。いわゆる「社長徹夜式オンデマンド印刷」である。

 やがてオンデマンド印刷機はオンデマンド印刷を行うだけではなくなってくる。短納期・少部数だけでなく、大部数でも刷るし、バリアブルプリンティングという新たな付加価値もついた。これらを総称する名称がどうしても欲しい。でないと、オンデマンド印刷では短納期・少部数専用機と思われてしまう。

 そこででてきたのが「デジタル印刷機」と「プロダクションプリンタ」という呼び方である。デジタル印刷は印刷機がデジタル化したというイメージ。プロダクションプリンタはコンピュータのプリンタが生産設備として機能するぐらい大きくなったイメージである。メーカーがプロダクションプリンタと呼びたがるのは、家庭やオフィス用プリンタとプロダクションプリンタは技術的に変わりないからだろう。開発も生産もほとんど一緒。また用途も請求書や健康診断通知などのトランザクションはプリンタとしての機能が拡大したものだ。

 ただ、プリンタという言葉には、家庭やオフィスでコンピュータから紙出力を得るのに使う機械であるイメージが強すぎる。しかもプロダクションプリンタはあまりにカタカナが長すぎるではないか。

 そこで、提案。デジタル印刷機で統一しませんか。

 プリンタも訳せば印刷機だが、印刷機とプリンタという名称を並べた場合、「印刷機」にはすでに生産設備としての機械の意味がはいっているのではないか。従来の印刷機、活版印刷機や平版印刷機が人の手で、つまりコンピュータを使わずに機能したからアナログ印刷機、それに対してコンピュータの出力機としての意味もありコンピュータがなければ動かないという意味でデジタル印刷機。

 これから液体トナーやインクジェットなどの技術も進化するだろうが、これらもすべて含めた名称としてデジタル印刷機である。どうだろうか。業界ととしてそろそろ名称を統一しないと、いつまでも「いわゆるオンデマンド印刷機」とか「プロダクションプリンタとか呼ばれる一群の機械」などという妙な言い方をしなくてはならない。まずここから統一しよう。

« 2015年1月 | トップページ | 2015年3月 »