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2014年6月に作成された記事

方眼紙EXCEL

 EXCELは便利なソフトである。縦横の行と列がすぐに計算できてしまう。経理全般に役立つのはもちろんだが、経営者としては、給与シミュレーションとか、資金繰り計画などに重宝する。EXCELが、学生のころにあれば、実験データの集計なんかあっというまにできたのにと今更ながら。

 印刷会社をやっていて、最近、原稿がEXCELファィルというのが増えてきているように思う。ただし、これはEXCELが集計に便利だということより、単なる罫表作成用ソフトとしてEXCELを使っているのではないかと思えるものが多い。集計機能なんてまるで使われておらず、律儀に文字や数字を枠内に並べているだけだったりする。普通、文字原稿はWORDファイルで入稿されるが、WORDで罫表を作るのはあまりに面倒で、よほど慣れた人でないと使いこなせないことが背景にあるとみた。

 そもそも、日本人は罫表が好きだ。なんでもかんでも線で囲みたがる。枠の中にとじこめたがる。これは日本語が枠の中に収まりやすいということも一因だろう。欧米の場合、いわゆるプロポーショナルスペーシングフォントになる上に、単語の途中で行を切ることを嫌うから、枠の中に収まりづらい。だから、欧米では縦罫を使わず、横罫とTABだけで作表をすませてしまう。WORDはその文化の中で作られたソフトであり、縦罫を多用する日本語では使いにくいのかも知れない。

 これがEXCELなら、縦横に罫線が引けて、自由に罫表が作れる。慣れた人だと役所の申請書のような複雑怪奇なフォーマットでもEXCELで作り込んでくる。この際、多用されるようになってきているのが、方眼紙EXCELと言われる技法だ。これはデフォルトでは横長の矩形であるセルを細かい正方形のセルに設定してしまい、必要に応じて、セルを結合してひとつの枠として使うというものだ。

 この方眼紙EXCEL技法は縦横が整然と並んでいない表の場合、威力を発揮する。住所の欄は長く、名前のふりがなの欄の幅は狭く、チェックボックスは横幅の小さい枠が大量にというような帳票だ。大きい欄の場合は、方眼紙に区切られたセルを縦3升、横20升くらいを結合して1セルにする。小さい場合は、1升1セルでもいい。これで見た目は綺麗な帳票ができる。

 まさしく、方眼紙だ。昔の版下のように方眼紙の上にロットリングで線を引いたり、写植を貼り込むかわりに、EXCELのセルを細かくすることで台紙として使っているわけだ。

 こんな使い方は、開発したマイクロソフト自身は想定もしていなかったことだろう。罫表好きの日本人に合わせた工夫だなあと思う。見事なものだと、本当に版下として使えてしまうレベルのものができてしまう。

 もちろん、こんな方眼紙EXCELというような使い方は邪道である。見た目を優先させた作り方であり、コンピュータの使い方としては正しくないからだ。方眼紙EXCELでは本来のEXCELの目的としているデータベースとして使うことができない。DTPの罫表機能の代替としてEXCELを使っているに過ぎない。

 そもそも、データベースとして使えないような申請書形式の帳票って意味があるのだろうか。私もよく役所の申請書や各種の業界団体の入会届けに罫表でいっぱい囲まれた紙のフォームに記入することを求められる。これが実にめんどくさい。手書きなんてとうの昔にできなくなっているので、だいたいはフォームをスキャンして、Indesignに画像として貼り付け、その上で、テキストを書き込む。しかし、これはあまりにばかばかしい。これぐらいならWEB登録させるか。シンプルEXCELにしてもらいたいと思う。

 方眼紙EXCELは紙帳票の時代から、コンピュータデータベースの時代の狭間に咲いたあだ花のような気がしてならない。

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