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2013年11月に作成された記事

電子式年遷宮挙行

 今年は伊勢神宮も出雲大社も式年遷宮という事でマスコミをにぎわしている。

 我が家でも、今年は電子式年遷宮挙行の年となった。いや、そんな大げさな話ではありません。古いビデオDVDを新しいDVDに移し替えたのだ。そうしないと、子供の誕生のころから撮りだめた映像が見えなくなってしまう。動画データは何年かに一度新しい媒体に移し替える作業を行わないと、すぐに見ることができなくなる。

 元々は8ミリビデオカメラで撮った映像だった。それをテレビ画面で簡単に見るためバックアップの意味もあってVHSに移し替えた。これが一回目の式年遷宮になる。二回目の式年遷宮は数年後、このデータをハードディスクタイプのプレーヤーに移し替えることだった。そして三回目の式年遷宮はさらに数年後、新しいハードディスクタイプのBDプレーヤーを買ったときに、このハードディスクの動画をDVD-Rに焼いたことだ。ファイナライズという儀式をおごそかにとり行い、12枚のDVD-Rができあがった。

 さて、ひさしぶりにこの動画を見ようと思いたって、このDVD-RをBDプレーヤーにセットしたら。これが再生できないのだ。なにか規格の微妙な違いがあるらしい。幸いなことに、このDVD-Rはパソコンでは再生できた。家内の要望で、パソコンを経由してBDに移し替えるという作業を行うことになった。ついに四回目の式年遷宮である。

 これが大変だった。動画は規格がやたらに多い。しかも、さまざまな設定が必要だ。うまく書けたと思って、BDプレーヤーで再生してみても、画面に映るのは斜めの筋だけだったり、人物が縦に引き伸ばされたりする。さんざ試行錯誤の末、やっとなんとか見られる動画がDVDに収録できた。考えて見れば、8ミリビデオカメラの頃からテレビも画面縦横比4:3アナログから16:9のデジタルハイビジョンへと変わっている。そして、それで終わりではなく、すでに次世代テレビとして3Dとか4Kとかがもてはやされている。

 今後はデータがいつのまにか読めなくなるという事態を避けるため、機械の買い換えとかのイベントがなくても、数年に一度は新しい媒体への移し替え、-電子式年遷宮-を行う必要があるとつくづく思った。

 動画の場合は極端だが、印刷用の電子データも昔の物は読めなくなりつつある。電算写植のデータはもう全く読めない。苦労して変換すればテキストだけは救えるかもしれないが、レイアウトはまず無理だ。DTPの初期データも今はまず読めない。DTPソフトに新しいバージョンが出るたびにやはり変換して移し替えておく必要があるだろう。

 もともと、電子データというのは、本を刷る時に使う中間データという位置づけで、データ時代は再版でもない限り、それほど重要という意識はなかった。しかし、当然のことながら電子書籍時代にあっては、この電子データこそが重要となる。ボーンデジタルで電子書籍として利用するのなら、そこに必要なのは紙でもフィルムでもなく電子データだけである。当然、このデータは長期保存に耐えてもらわなければならない。物理的な保全も大事だが、その上で、将来にわたってデータとして利用できなければ意味がない。今主流のPDFやEPUBなどというものが果たして長期にわたって再生が保証できるのだろうか。

 となると、電子式年遷宮が絶対に必要となってくる。図書館のデータまるごと、あるいは、印刷会社のデータまるごと、定期的に式年遷宮をやって新しいフォーマットと媒体に移し替えねば、データの永続性は保証されない。むしろ、電子データは式年遷宮されることを前提として設計するということが必要なのではないか。
 「今年は○○図書館の電子式年遷宮の年です」とおごそかに、テレビ中継がされるという時代が来るのかもしれない。

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