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2012年9月に作成された記事

日本の機材メーカーに期待する

 大阪の印刷機材展へ行って参りました。私、この機材展というやつが好きだ。もちろん、印刷機械を次々買えるような景気のいい会社を経営しているわけではないから、機材を直接買い付けるためではない。むしろそのときどきの印刷がどちらへ向かっているか、どのような工夫や発明をメーカーさんがしてくるか、それを見るのが楽しいし、好きなのだ。

 残念なことに、大阪の機材展は縮小の一途である。私がこの業界にはいったバブル景気のころには、これも大阪南港の巨大な展示会場をいくつも使った大規模なものだった。中では何十台ものオフセット機がうなりをあげて動いていた。それはまさしく工場が引っ越してきたような光景だった。それが今ではただの一会場で、それもコマが全部埋まらないありさまだ。ついこの前、drupaで17もの会場に最新鋭の機械と、世界中から訪れる見学者であふれかえる光景を見てきたばかりだからなおのこと寂しい。一会場なんてあちらでは大きな会社なら一社で占有している。

 会場ではオフセット印刷機械はついに小型の四色機を一台みかけただけである。それより悲しいのはdrupaならオフセット機のかわりに所狭しと並んでいたインクジェット機や固体トナー・液体トナー機の姿がないことだ。コピー機に毛の生えた程度の「オンデマンド印刷機」はみかけたが、drupaで覇を競っていたB2インクジェットも目立たない。かわりに展示されているものと言えば、写真パネルであったり、drupaのビデオ映像だったりする。これではわざわざ展示会に出てくる必然性がないではないか。今や、drupaで評判になった機械はプレゼンの様子も含めて、すぐにYouTubeで動画で見られる時代だ。こういう時代だからこそ、drupaで評判になった試作機の実物を一台でも持ってて来てくれていれば、ずいぶん印象が違うのにと思う。drupaで金と力を使い果たしたという言い訳もあるのだろうが、日本、特に地方の印刷業者が舐められた気がして愉快ではない。

 こういうときは、ブースにいる営業さんと話をする。業界の動向、他社の設備状況、工業組合の噂話。こうした営業さんとの対話の中で、意図的なリークかもしれないが、色々と最新の開発状況がわかったりもする。逆に言うと、もう展示会の楽しみはそれぐらいなものだ。

 メーカーの営業さんは苦しんでいた。もはやオフセットの将来が明るくないのは誰だって知っている。しかしだからといって、最新鋭のインクジェット機開発の話なんかをお客さんにすると、新製品の登場を見越して、既存機種の買い控え現象がおこってしまうという。新製品は画期的であればあるほど、開発コストもかかり、すぐに儲かるわけではない。今は一台でもオフセット機を売って開発費を稼ぎたいが、そこが売れないという。

 しかしなあ、前へ進まないとどうしようもないと思う。はっきり言えば、もっと積極的に新製品を持ってきて欲しい。低成長時代だからこそ、高収益の商品を売りたいのはわかるが、既存機種に拘泥していたら、製造業は落ち込んでいくばかりだ。リスクを怖れず果敢に新製品を投入して、自信をもって売り込んで欲しい。そのためにも実物を出すべきだ。

 我々は次の機械が欲しいのだ。つまり未来が見たいということでもある。印刷機メーカーさんゑ。出し惜しみしないで、開発中でもいいから実物を見せて欲しい。かのdrupaでは、まだ実用の可能性すらわからない機械でも積極的にプレゼンして売り込んでいた。ある意味「厚かましい」。でもそうした楽天的な厚かましさから新製品は生まれてくる。中国やインド・イスラエルからの新製品ではなく、われわれは日本のメーカーによる日本市場のための新製品が見たいのだ。

 その日本のメーカーとは、そう、あなたの会社だよ。

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