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2012年7月に作成された記事

drupaへ行こう

 drupaへ行って参りました。前回は機会を逸してしまったので行くのは8年ぶりである。あいかわらず、ジュッセルドルフのメッセは活気づいている。行ったのが週末ということもあるが、はじまる前から会場へ向かう地下鉄はビール片手の工員さんたちで大盛り上がりで、開場直後なのに入り口付近は人であふれている。

 今回のdrupaのキャッチフレーズは「Digital Printing drupa」だということらしい。私がそれを中心に見たこともあるが、文字通り会場はデジタル印刷機械であふれていた。もはやオンデマンド印刷なんて妙な言い方をするところはどこもない。オンデマンドはもはや当たり前。「欲しいときに欲しいだけ印刷」というのがオンデマンドのコンセプトだったわけだが、それは市場の当然の要求であって、今までの印刷がオンデマンドでなかったのがどうかしていたのだ。大量に刷った方が一部単価はさがるから大量に刷っておきましょうとか、刷り出し損紙はどうしても必要ですというような印刷会社の言い種は、機械の能力に市場のニーズを合わせてもらっていたのだ。今や市場のニーズはわがまま。とことん個別印刷を速く安く大量に供給出来る方法が求められている。

 デジタル印刷技術は百花繚乱。固体トナーは熟成を極め、インクジェットはますます速くなっている。インクジェットの新聞輪転なんて製品も珍しくはない。またここに来て液体トナー方式が増えていて、話題を集める新製品も多い。もうデジタル印刷機器といえどオフセットと同等の品質はあって当然、それをバリアブルでいかに速く供給するか、それをWeb to Printのシステムの中に取り込み、どうやって人手の介在を減らすか各社のトータルでのシステム構築力が問われている。このあたりの技術的な詳しい記事は本誌の別ページを是非参照していただきたいと思うが、とにかく、今、印刷技術は沸き返っている。これから変わる。確実に変わる。ある意味、こんな面白い時代はない。自社がどの方式にかけるかでこの先、何十年かの会社の命運が決まると言っても過言ではない。

 しかし、これだけ刺激的なdrupaなのに、日本人が少ない。東洋人だなと思っても大概は中国人だ。中国人の団体はツアーなのだろうか、入り口付近で何組もが集合していた。そして出展も多いし、大手の会社のブースでも中国人説明員の姿がめだつ。国の勢いの差だろうか。日本では逆に「いまさらdrupa行ってもみるべきものはなにもない」とおっしゃるお方にもよく会った。こんな沸き返っているdrupaで中国人が目を皿のようにしてどん欲に新しい印刷技術を吸収しようとしているときにそれはないと思う。

 ついでだが、とにかくdrupaでは出展者側に質問することだ。ドイツ語や英語なんて実はいらない。大きなメーカーなら必ず日本人の説明員がいる。かれらは実は質問がこないので暇をもてあましているのだ。あちらは「わからなかったら聞いて」の世界。すべては質問が来ることが前提になっている。受付で「Japanese speaker please」と言えばいい。誰かがでてくる。そして質問すれば、自社製品の特徴から今後の見通し、はては日本では言いそうもない他社の思いがけない情報までも聞ける。だいたいdrupaに来ているような説明員は日本でも一番優秀な若手のはずで、彼らの知識や熱心さはその会社の未来に直結している。その意味でも早くから知り合いになって損はない連中ばかりだ。もちろんdrupaで質問攻めにしたりしたら、脈ありと見て、各社の営業が押しかけてきて大変なことになるとは思うが。

 確かに技術革新もあまり早くに追いすぎると過剰設備投資になって会社の足を引っ張る。でも遅れても致命傷、その狭間にあるほんのすこしの適切な時期の導入という隙間を見極めるのが印刷会社の経営なのだ。その情報を得るためにもとにかく行きましょう。drupa。もう今年は今更だけどね。 

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