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「我、電子書籍の抵抗勢力たらんと欲す」ついに発売。反響は?

「我、電子書籍の抵抗勢力たらんと欲す」ついに発売いたしました。今日はほぼ一日、パシフィコ横浜のPRIMEDEX会場にて、売り子さんをやっていました。著者みずから、「著者がサインします」と声をはりあげて売ってきました。コモリ印刷機械の小森社長はじめ、多くの方々にお買い上げいただき、印刷学会出版部ブースどころか、会場にあった、出版社ブースの中でも圧倒的な売り上量げだったと思いますよ。

 下の写真は売り子やっている私。もうひとりは、印刷学会出版部の古性(ふるしょう)君です。

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で、そろそろ読後反響もでているわけですが。

 まずは、「抵抗勢力たらん」というこの挑戦的な題名について。まず、一番最初に言われたのが、「抵抗勢力」もなにも、紙の本はポッとでてきた電子書籍にそもそも負けるわけがないので、わざわざ「抵抗勢力」というようにまともに相手にしていること自体がおかしいんではないかという意見です。古典的な印刷や紙の信奉者に多いですが、この手の方々は、そもそも現在の電子書籍や電子ペーパーのすごさをごらんになっていない。となりで、若い人が使っているのを横目で見ただけで、つかいものにならない言い切っている。

 これは私も冒頭で書いてますが、認識違いもはなはだしいと思います。電子書籍は脅威です。紙の本よりもはるかに魅力が多い。検討すればするほど、電子書籍の発展は間違いないと思えるのです。だからこそ「抵抗勢力」にならないといけないわけです。圧倒的な脅威があるからこそ、抵抗しなくちゃならない。そこはまず私の基本スタンス。とるにたらないとか、相手にならないとかは言ってません。

 じゃあなぜ、「抵抗勢力」となるのか。それは、われわれ印刷業界の既得権益を守るためです。既得権益って、悪の権化のようにいわれますが、まずは生きていく糧です。全否定されたら闘わざるをえない。農業団体が、既得権益擁護のためにどれだけ闘ったか。まずはかれらを見習いましょう。それで、文化の真の発展になるかどうか。それはここでは問いません。まずはわれわれ印刷業界や書店、出版社が生き延びねばならない。紙を前提として、印税も、出版社の編集も維持されている。これは一朝一夕ではかわらない。これを抜きにして、勝手に産業転換の御名のもとに本が滅ぼされたら、誰だって怒ります。

 そして、もうひとつ、私は紙の本が好きです。そのあたりは本にも収録しましたし、このブログにもありますが、絶対的に好きなのです。多くの人がそうでしよう。

 そんなに本が好きだったら、そして好きという人が多いのだったら、本が滅びるとか、電子書籍に抵抗するとかしなくても、自然に本が勝つので、「抵抗勢力」なんかにならなくてもいいのではという意見も聞きました。でもこれは甘いと思う。私の原点は最初に出版した「活字が消えた日」ですが、それがまさにそうだった。私も親父も活字が好きだったし、そういってくれるお客さんもたくさんいました。でも電算写植の圧倒的な機能と便利さの前に、転換せざるをえませんでした。そのとき、お客さんはやはり「もったいない」とか「活字の風合いが好きだから、残して欲しい」とさんざんいわれたのですが、結局電算写植組み版となり、それを見慣れてしまうと、誰も活版がいいとは言わなくなりました。たまーに、「活字でやって欲しい」というお客さんもあらわれましたが、「価格がずっと高くなります」というとそれでもやって欲しいというお客さんはいませんでした。

 電子書籍もたぶんそうなると私は見ています。今は、見慣れないし、値段もそれほどかわらないから、本が対等に論じられています。が、電子ペーパーの質はあっというまによくなるでしょうし、値段は電子デバイスのこと、たぶん只でくばられるようになるには時間はかからない。つまりコンテンツのおまけとして電子書籍端末が無料で配られる時代はすぐそこに来ていると言うことです。そうなると、単純な感傷では本は残れません。

 だから積極的に電子書籍普及の足をひっぱれ、時間を稼げという論になるわけです。
「我、電子書籍の抵抗勢力たらんと欲す」
ですね。

 もちろん、通読していただければわかると思いますが、この論理自体が一種のパロディです。私の真意ははてどこにあるのでしょうか。それは買ってみてのお楽しみ。

印刷学会出版部 刊 
四六 208頁 並製
1600円+税
ISBN978-4-87085-200-6 C0070 \1600E

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2010/7/23

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