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我、電子書籍への抵抗勢力たらん

 われわれ印刷会社にとって電子書籍は脅威以外のなにものでもない。紙に印刷しないのだから、電子書籍製作に当たって、印刷会社はまったくかやの外だ。もちろん電子書籍ベンダーや電子書籍システムのソフトウエア構築といった仕事を印刷会社の仕事としてしまうことは可能だ。可能だが、そんなことができる印刷会社がいったい全国に何社あるというのだろうか。このままでは印刷業界、すくなくとも出版印刷の業界は壊滅である。

 このまま座して死を待つぐらいなら、抵抗勢力になってやろうではないか。本は印刷会社が作った。グーグルがスキャンして溜め込んだ書籍コンテンツの大元も結局その版面は印刷会社が作ったものだ。著作権の関係から版面については印刷会社はなにも言えないなどと、あきらめる必要はない。ありとあらゆる法律を駆使して徹底的に言うべきは主張しよう。主張して訴訟している間は、電子書籍陣営も法律論議に手間をとられて電子書籍化の速度がおちるはずだ。

 そして読者にうったえかけよう。「紙の本の魅力」をもっと声高に宣伝しよう。本には表紙もカバーも腰巻きも見返しも扉もある。そうした全体が本なのであって決して本文だけではない。そして本は読むのにデバイスが必要ない。本は本という媒体がそのままプレーヤーでもある。電池も電気もいらない。読者に紙の本の魅力を再認識してもらえれば、電子書籍の売り上げは落ちる。売り上げが落ちれば高い金を出版社に払ってまで、配信しようとはしない。結果として電子書籍の人気はいつまでたっても高まらないはずだ。

 もちろん、こうした抵抗も蟷螂の斧なのは百も承知。長期的に紙の本が電子書籍に対抗するのは難しいだろう。しかしちょっとでもその普及を遅らせれば、その間に印刷業界のビジネスモデルを転換させることができる。

 我、抵抗勢力たらんと欲す。だいたい印刷業界はなめられている。電子書籍をビジネスとして成立させようとするなら、印刷業界に仁義をとおしてもらいたものだ。

10/03/27

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コメント

拝啓

EBook2.0 Forumという、一見すると反対の立場のWebサイトを運営している鎌田と申すものです。しかし小生も愛書家の端くれとして、また印刷技術と文化に深い愛着を持つ者として、出版社よりは印刷業に共感します。権利主張ももっともですが、「抵抗」にもエネルギーが必要ですし、その分を「ビジネスモデルの転換」に投入するほうが生産的だと愚考します。
そこでご提案ですが、ぜひわれわれのサイト上での公開討論をお願いできないでしょうか。「電子派」は世間知らずで教養も浅い連中が多いので、オープンな議論を通じて勉強していくと思います。
ご一考いただければ幸いです。

EBook2.0 Forum編集長
鎌田博樹拝

鎌田博樹様 
はい。ありがとうございます。どのようなかたちで参加させていただいたよよいでしょうか。お伝えください。

中西様

早速お返事をいただき、恐縮です。

可能ならば、私どものサイトでの記事分類で、「関連産業>印刷」というサブカテゴリーがありますので、そちらに寄稿していただきたいと考えております。テーマは、たとえば月並みですが「デジタル印刷の印刷業」(仮)とでもして、E-Bookに対して問題を提起しながら、印刷業のビジネスモデル、出版と印刷のあるべき関係を考えていく形はいかがでしょう。
ただし、小生が考える「出版」は、出版社が考える「出版」よりは、印刷業が考える「印刷」に近い、本来の publishingのことで、そのことは、Forumのページ(紺地白抜きのバー)に書いてあります。
トピックは、以下のようなものを考えておりますが、お考えをお聞かせ下さい。
 ・紙の世界、電子の世界:何が違うか
 ・E-Bookは印刷 (本)にとってほんとうに脅威か
 ・出版社(者)に言いたいこと
 ・政治/行政に言いたいこと
 ・オンデマンド・プリンティングに可能性はあるか
 ・印刷業の「電子出版」への歩み:組版の先に何があるか
 ・E-Bookビジネス(教育、マニュアル、カタログ、行政…)と印刷業
 ・出版社が「中抜き」されないために何が必要か
 
今月から「EBook2.0研究講座」というプロジェクトを始めておりまして、このシリーズで印刷業の問題も取り上げる予定です。こちらにもご協力いただければ幸いです。
http://www.ebook2forum.com/study-2-0/

以上、勝手なお願いですが、よろしくご検討のほどを。

草々不備

鎌田博樹拝
EBook2.0 Forum編集長

鎌田博樹様

了解しました。まずはサイトを拝見させていただき、時に応じて書かせていただきますし、タイミングなどご指示ください。

中西様

有難うございます。たいへん光栄です。
掲載はいつでもOKですが、おおむね1、2週間に一度くらいでよろしいでしょうか。とりあえず、数日中にイントロとして駄文を掲載させていただきますが、
以後、呵責、忌憚、遠慮…ないご批判を期待しております。
『週刊ダイヤモンド』の「電子書籍・出版」特集がボツになったという記事を一昨日書きましたが、他に情報源が乏しいせいか、すでに2000人以上に読まれました。出版t社は同業者や取次のことはこれほど神経質になるのに、製造一切を任せている印刷会社を意識することはまるでないようです。

草々不備

鎌田博樹拝

中西様

粗いですが、イントロと第1回目の原稿を書かせていただきました。ご一読ください。

イントロ
http://bit.ly/c7fDsU

「E- Bookと印刷業 (1):印刷業こそ先頭にいる 」
http://bit.ly/dlNiBc

鎌田博樹拝

読ませていただきました。さてこの後ですが、連絡はメイルにしたいと思いますので、ダイレクトメッセージで送ります。

中西 さん
ご無沙汰しています。神宮司です。

デジタル化、電子版について、整理、考え方なんですが。
デジタル化は、コンテンツそのものの、つまり紙面とか、本文とか
が電子化されること、そのことは実は二義的なことではないかと
考えています。

本の内容(コンテンツ)を指し示すやり方、方法がデジタル化
されること、そのことが重要だと。

要は、ここにこういう本があるよ(この本はこういう本です
=「指し示すやり方、方法」)と言えることが、
デジタル化で実現するなら、コンテンツの流通にとって
画期的なことです。本が、そして本が存在していることが、
その本を欲している読者に正しく伝わるわけですから。

指し示した先の本が、紙の本であれば、書店に行くか
図書館に行きます。

指し示した先の本が、電子であれば、PCやケータイで
のぞきにいきます。

そういうことではないでしょうか。


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