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2005年7月に作成された記事

医中誌WEBバージョンアツプ

日本のオンラインジャーナルは官主導で進展しているが、こと医学関係に関しては、民が参入している。医学関係は元々、症例照会の需要が強い上に、大学だけでなく、病院・開業医から製薬会社・医療機器会社まで市場が広く、充分に商業ベースになるからである。

中でも医学中央雑誌は文献検索のための書誌情報と抄録を収録した冊子体をすでに100年以上前から刊行してきている老舗である。同誌は編集の電子化の進展とともに、1992年CD-ROM版を発売、2000年にはWEB版の運用を開始している。この過程で急速にインターネット化が進行し、紙版はすでに刊行を中止、CD-ROM版も今年度を最後に発売をやめるという。

この医学中央雑誌刊行会は2005年7月4年ぶりのユーザー会を行い「医中誌WEB」の大幅なバージョンアップを発表した。もともと医学中央雑誌は文献検索のためのものであって、論文全文を収録した一次データベースではない。「医中誌WEB」も文献検索の機能は充実していたが、今までは論文の全文テキストへのリンクはなく、文献を「医中誌WEB」で検索しても、実際にその論文を読むには、別途、紙の文献にあたるか、書誌情報をたよりにオンラインジャーナルを探す必要があった。次回のバージョンからはオンラインジャーナルへのリンクをはじめるという。つまり「医中誌WEB」で検索されたものは元の論文がオンラインジャーナルで存在していれば、クリックひとつで原論文に到達できることになる。
 
リンク相手としては、Pubmedをはじめ、Crossrefなどの有力な海外リンクセンター、国内でも、国立情報学研究所のCiNiiや民間のアナログPDFデータベースMedical Online、サンメデイアの電子ジャーナルサイトPier Onlineなどが予定されているという。

医中誌WEBの普及(1日15万アクセス)を考えると、この影響力は大きく、日本語の雑誌のデータベース化をいっそう推進していくことになると思われる。その他に図書館の雑誌検索システムであるOPACとも連携し、オンラインにない場合でも、図書館の所蔵状況が簡単にわかるという。大変な進化である。今後の「医中誌WEB」の動向から目が離せない。


2005/07/28

日本の機関レポジトリの責任は?

Pub Med Central の方針が日本の学会に思わぬ反響を呼び起こしている。Pub Med Centralが公開一年後に全文のPub Med Central での公開を「強く推奨」したことはこのBlogでも書いてきているが、その前提となるのは、Pub Med Centralが無料で収集・公開することである。これは大手出版社に依存しない独立系の学会にとっては、Pub Med centralというオンラインジャーナルが新しくできたに等しい。つまり、大手出版社に頼まなくても、オンラインジャーナルができ、しかもアメリカの有力なサーバーに論文が載るということが可能になるわけである。

日本の学会の多くは海外出版社と契約を結べるほど力が強くなく、J-Stageのような官立のサーバーに載せている場合がほとんどだ。しかし、J-Stageの国際的知名度に対しては日本の学会からは不満が強い。ここにPub Med CentralがJ-Sstageと同じ無料サーバー提供を申し出たということは日本の学会にとっては心が動かざるをえない。もちろん、医学生物学系に限る話だが、多くの学会ではPub Med Centralへの掲載に積極的な準備をはじめている。

Pub Med Centralには、イギリスにも同様の動きがあり、アメリカの本家と強力なリンク関係になると言われる。ではなぜ、日本がそうならないのか。J-Stageの国際的認知が低いままなのはなぜなのか。やはり日本では有力な学会が、すべて巨大出版社やPub Medに向かっているのが原因ではないか。日本の研究の多くは、日本の科研費や、日本の大学の研究費でもってまかなわれているのにその成果が日本の機関レポジトリに載らない。又は載せたくないというのはなぜなのだろうか。

日本の機関レポジトリはもっと収集に向けてNIHのような強力な意志をもって積極的に動きべきだろうし、またそれを受けて国際的な発信により積極的になるべきではないか。

(2005/7/1)

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