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2005年3月に作成された記事

純粋OLJの行方

 オンラインジャーナルとはいっても、紙の雑誌があるのがまだ主流である。紙の雑誌が主体であって、検索や過去論文のアーカイブとしてオンラインジャーナルがあるというのが、今までのオンラインジャーナルのあり方だった。ただ、この状況は、徐々にオンラインジャーナル主体にかわりつつある。新しいWEB技術を使った、バーチャルジャーナル(オンラインジャーナルに載った個別の論文をWEB上で再編成して、新編集の雑誌にみせる)や、アラート機能(関心のある論文の掲載を知らせてくれる機能)の提供は検索するオンラインジャーナルから利用するオンラインジャーナルへと利用状況は変化している。

 こうなってくると、紙の雑誌は必要なのだろうかという疑問がでてくることになる。紙の雑誌は紙という物理媒体にのっていることで、情報を伝達することが紙の輸送コストとイコールであり、情報伝達のコストがインターネットに比べてきわめて高い。しかも印刷・製本という過程を経るため情報の伝達速度も遅い。
 紙を作らず、インターネットの上で雑誌として成立させる純粋オンラインジャーナルはしかし成立が困難だ。いくら安いとはいえ、そこには査読・編集・オンラインジャーナル作成というコストがかかる。オンラインジャーナルはオープンアクセス運動(別項)をはじめ、現在、強烈な無料化の波にあらわれており、オンラインジャーナルだけではなかなか採算がとれない。本という実態に対してはお金を払うけれども、オンラインジャーナルという情報だけになったときそれに見合う料金がとれないのが実状なのである。

 そんな中、2005年より日本では2誌の純粋オンラインジャーナル化がスタートする。生物物理学会の英文誌Biophysicsと細胞生物学会のCell Structure and Functionである。前者は新創刊の英文誌であり、後者は今まであった冊子体の学術誌を衣替えしたものだ。この2つの雑誌の動向と読者の反応を現在多くの関係者が固唾を飲んで見守っており、結果が注目される。

(2005.3.25)

OLJサイトの種類

オンラインジャーナルサイトにも発表形態によっても、さまざまなものがあります。
基本的には、ハイワイヤーのように、自分のところでフルテキストのデータベースをもちそれを目次ページとともに、公開するかたちのものです。そして、オンラインジャーナルにはそのもとになる紙の雑誌が存在しています。もっとも基本的なかたちのもので、普通オンラインジャーナルというこれを指します。

それに対して、自分のところでは、フルテキストのデータベースをもたず、検索の機能だけをもっているものも多くあります。これは検索機能だけを提供し、検索した後は、元になる論文にリンクします。もっとも著名なのが、PubMedです。これら検索サイトは無条件にリンクするのではなく、一定の基準をもったものだけにリンクすることで、それぞれに権威を持つようになってきています。

また最近、おもしろい動きがでてきています。インターネットジャーナルとバーチャルジャーナルです。前者は、オンラインジャーナルと形態的には同じですが、元になる紙の本がありません。純粋に、インターネット上だけで成立するものです。ただし、プレプリントサーバー(ロスアラモスのものが有名。投稿すればそのまま載ると違って、査読を行うことで、一定の水準を保とうとしています。著名なものにBioMed Centralがあります。バーチャルジャーナルは複数のオンラインジャーナルからあるテーマの論文を集め、あたかもひとつの雑誌のように見せるものです。オンラインジャーナルでは多大な実績のある米国物理学会が提供しています。

OLJの形態

ひとくちに全文のインターネット掲載といっても、いろいろな形態がありえます。最近の進んだオンラインジャーナルではPDFとHTMLを併用する例が多いようです。

<画像公開>
もっとも古くから実行されていたものに、本1冊まるごとを1ページづつスキャナで読み取り、全ページを画像の形で保存するという方法があります。この方法は本ができてさえいれば、すぐに実行できますが、単語検索ができなかったり、画像のため伝送に時間がかかったりして、他の方法が普及した今ではあまり意味がなくなっています。

<PDF>
その次に、印刷のための出力データを電子的に保存するPDF(Portable Document Format)という技法があります。これは誌面をスキャナで読み取るのではなく、印刷の仕上がり状態そのままを電子的に変換してファイルに保存公開するものです。読者は、特別なソフト(Acrobat reader)を使ってそれを読むことになります。誌面そのままを電子データにできますので、特別な手間がかからず、実行もしやすく、オンラインジャーナルというとまずこの段階からスタートされる例が多いようです。ただ、この技法も紙の本の誌面体裁そのままが画面に表示されますので、画面上では読みやすくありませんし、検索などもそれほど自由にはできません。

<HTML>
一番、オンラインジャーナルとして有効なのは、インターネット専用言語であるHTMLで書かれ、誌面も画面用に特化したHTML技法です。紙の誌面とはまったく独立して、画面で読みやすいように誌面を構成できますし、検索やリンクも自由で、特に引用文献リンクは便利なことこの上なく、オンラインジャーナルの究極形態はこのかたちになると思われます。反面、作成に非常な手間がかかり、費用もかさみます。紙の誌面とHTML版をいかに効率よく、ひとつのソースから作り出すかという技量が問われます。現在では、HTMLの上位互換言語であるSGMLを使って、紙版、電子版を同時に効率よく組版する汎用組版などがこころみられています。

オンラインジャーナルとは

インターネット上で、学会誌等の目次やアブストラクトを掲載することが最近よくおこなわれるようになりました。オンラインジャーナルはこれを一歩も二歩も進め、雑誌の内容すべてをインターネット上で公開し、扱いやすい検索機能などを付加する物です。紙の雑誌がなくなるわけではありませんが、紙の雑誌よりも投稿から掲載までが速い上に、ハイパーリンクで自由に引用文献検索ができるため、急速に普及しています。特に、英語圏での取り組みが早く、現在では欧米の有力な学会誌がほとんど電子的に公開されるようになっています。

今後、インターネットのハイパーリンクの網の中に論文が掲載されていない、つまりはオンラインジャーナル化されていないと、その論文は発表されたこと自体がどこからも知られず、実質的に発表されていないのと同じということになる可能性があります。最も進んだオンラインジャーナルはハイワイヤー(http://highwire.stanford.edu/)で見ることができます。

また、オンラインジャーナルとは直接関係ありませんが、電子化をすすめるにあたって、査読をインターネットを通じて行う電子査読、編集をインターネットを通じておこなう電子編集なども、具体的な段階にいたっています。

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